FAMOUS JAZZ CD 21 PROJECT | 21世紀の定番ジャズCD

1980年代のジャズ 100CD 選考座談会 vol.10

マーク・ジョンソンとデイヴ・ホランドは90年代につながる流れ

益子:
複数票で多い順から見ていきましょう。4票入っているものが6枚ありますが、本当にこれでいいのか? この地味さ加減で(笑)。さっきも話に出ましたが、減点法で考えるとこうなる、ということなんでしょうか?
村井:
それはあるんだよね。
益子:
じゃあ、その中でクラウス・オガーマン&マイケル・ブレッカー、これが1位でいいのか? という…。
後藤:
1位ってことではないでしょう?
益子:
便宜的にリスト上の順番で一番上に来ているだけなんですけどね(笑)。
須藤:
この中で一番いいやつって考えていったほうがいいんじゃないですか?
後藤:
この中で一番いいって、どの中で一番いいってこと?
須藤:
この4点入っているものの中で。
後藤:
俺、それはちょっと違うと思う。
益子:
さっきも言いましたけど、減点法で残したら結果的にみんなが選んでいた、という票の集まり方になっているような気がするんですよ。
後藤:
あのね、これ個人的な意見だけれども、この中で、一番いいと思うものっていったら、チャーリー・ヘイデンの『戦死者たちのバラッド』だと思うけどな。
益子:
ここで改めてランク付けするんですか?
後藤:
4点の中でどれが一番か、って須藤さんが言ったから。
村井:
それはあんまり意味のある会話じゃないと思うけど。
後藤:
だって、彼が言ったんだもん、クラウス・オガーマンが1番だっていうから、そんなことないって(笑)。あ、そういう意味じゃないの?
須藤:
ここからどうやって抜いていくかっていうことなんですけど…。
後藤:
だったら無理に抜かずに、全部入れちゃっていいんじゃないの?
村井:
『シティ・スケイプ』って、いやなところが全くないアルバムだよね。非常にクオリティは高いし、聴きやすいし、マイケル・ブレッカーの演奏もものすごくいいレヴェルで当然入って全く問題ないと思うし。あと、チャーリー・ヘイデンは世評も高いし、誰も文句はないだろう。『MOBO』も時代の話題性ってことに関しては圧倒的だったし、今聴いても新しい凄味がある。80年代のオーネットを1枚というと、地味だけど『イン・オール・ランゲージズ』は良く出来たアルバムですよね。アコースティックとエレクトリックの両方が入っていて、演奏もきちっとしている。
逆におもしろいのは、マーク・ジョンゾンが支持されたこと。これはある種の当時の『ジャズライフ』的な人気盤なんだよね。ビル・フリゼールとジョン・スコフィールドのツイン・ギターで、『ジャズライフ』の一部の読者には当時から圧倒的な支持を得ていましたけどね。
ただ、この選び方っていうのは、まず2票までが71枚あって、基本的には、6人中2人が支持しているのだからいいんじゃないかと思いますけど、あと同じ人の違う作品がいくつか入っている場合もある、と。同じ人であっても、違うメンバーで、違う時代にやっているのはいいと思うけど、ハンコックみたいに同じ日に録音したアルバムが2枚入っているというのもあるわけで、その辺は整理したほうがいいかな、と思いますけど。
益子:
それは追々やっていきますけど、まぁ、この最初の4票獲得盤はこれはこれでいいという感じでしょうか? 何か付け加えておきたいコメントってありますか?
須藤:
私はマーク・ジョンソンズ・ベース・ディザイアーとデイヴ・ホランド・クァルテットが入っているというのが、後の時代を反映しているような気がします。共に80年代後半でECM。なかなか象徴的だなぁ、とこの2枚については思います。
村井:
あっ、90年代につながっていく感があると。
須藤:
逆に言うと他が80年代前半じゃないですか。まぁ、オーネットは87年ですけど、この人は時代とはあまり関係ないか?
益子:
普通この時代のオーネットって、『ヴァージン・ビューティ』とか、『オヴ・ヒューマン・フィーリングス』とかが挙がる率が高いと思うんですけど、僕は敢えてこれを選んだんですね。新旧2つのバンドが入っているというのもありますが、このアルバムではオーネットのアルトの音が力強いんですよね。『ヴァージン・ビューティ』とか、『オヴ・ヒューマン・フィーリングス』は、わりと音が軽くて。
村井:
録音の仕方だと思いますけどね。でもこれ意外と人気盤だね。
後藤:
まぁ、いいんじゃないですか、全然問題ないって感じで。
須藤:
ブレッカーが入っているアルバムが2枚入っているのも私は嬉しいし(笑)。
後藤:
でも、ある意味ブレッカーは80年代ぐらいから良くなってきたわけだし、それはいいんじゃない。

※ この原稿は2008年7月5日に都内某所で行われた座談会の模様を再構成したものです。