FAMOUS JAZZ CD 21 PROJECT | 21世紀の定番ジャズCD

1980年代のジャズ 100CD 選考座談会 vol.20

ビルとギル、2人のエヴァンスは何が残るのか?

村井:
ここからさ、一人しか選んでいない盤の選び方って少し考えたほうがよくない?
後藤:
別に考えるって、今まで通りで強力な反対が出なければいいんじゃない。
村井:
それだと枚数増えちゃったりするんですよ。
須藤:
いや、そこはさらに落としていくっていうことで。
村井:
俺が考えたのは、オールスターゲームの監督推薦みたいにして、残りの枚数を人数分で割って、ひとりが自分の推薦したもののなかからこれだけは落としたくないものをまず挙げて、そこからやっていく、っていうのはどう?
後藤:
それでいいんじゃない。
益子:
では、私から。ビル・エヴァンスをなぜ入れたかというと、八田さんが『コンセクレーション』を入れているんですけど、僕はこっちの『ジ・アーティスツ・チョイス』のほうがいいんじゃないかと。
後藤:
これ、どのアルバム?
益子:
最後の正規録音ですよね。
後藤:
これはだけど、最初は出なかったよね。
益子:
出たのは随分あとになってからですよ。
後藤:
じゃ、ラスト・コンサートとの関係はどうなっている?
益子:
録音自体はキーストン・コーナーのものが最後です。こちらはそれより何ヶ月か前にヴィレッジ・ヴァンガードでやったものですが、正規録音としてはこれが最後なんです。
後藤:
俺はこれ聴いてないんだよね。俺は『コンセクレーション』はいいアルバムだと思うけど、そっちよりいいと思うならこれでいいよ。
益子:
好みがあると思うんですよ。『コンセクレーション』はかなり粗っぽくて。
村井:
80年に死んじゃった人が出した、最後のアルバムってことで、話題性は『コンセクレーション』はかなりありましたよね。あのあと、なんかタイトルが変わったり、いろんなレコード会社から出て印象がどんどん悪くなるって感じだったなぁ。
後藤:
あと未発表も出たでしょう。ドイツのとか。
原田:
あのドイツのすごいですよね!!(目が輝く)
益子:
ビル・エヴァンスに関していうと、この最後のトリオっていうのはやっぱり、それまでのものとは違うので、それはそれで価値があると思うのですが、最後のトリオの録音で言えば、『パリ・コンサート』のほうが出来がいいと思うので、ここはビル・エヴァンスはなくてもいいとは思うんです。
村井:
さぁ、どうしよう。ビル・エヴァンスはメモリアル的に入れるかどうかだよね。
益子:
メモリアル的なら入れなくてもいいんじゃないでしょうか?
村井:
僕は落としていいと思う。どうでしょう。
後藤・須藤:
異論ないです。
益子:
次のギル・エヴァンスとリー・コニッツなんですけど、これはスティーヴ・レイシーとのデュオ『パリス・ブルース』との対抗上、僕はこっちのほうが好きです、ということで入れました。
村井:
両方ともいいんですけどね。僕はスティーヴ・レイシーがほとんど泣いているみたいで好きなんですけどね。ものすごく暗いアルバムなんですけど。
須藤:
僕は好き嫌いでいうとコニッツとのほうが好きだなぁ。
村井:
コニッツのは80年ぐらいの録音なんだよね、レイシーのは亡くなる前の年のなんですけど。
後藤:
俺は『パリス・ブルース』のほうが印象にあるけどなぁ。
村井:
コニッツのは出たのが後ですけどね。だからギルはあと、パブリック・シアターのが入っているんですけど。
益子:
でも、ピアニストとしてのギルっていうのはまた別ですからね。僕はどっちが選ばれてもいいです。
村井:
じゃ、『パリス・ブルース』のほうが結構意見があったので、こちらでよろしいでしょうか?
一同:
はい。

※ この原稿は2008年7月5日に都内某所で行われた座談会の模様を再構成したものです。