寺島靖国氏が褒めるものは入れないのか?
- 村井:
- アル・ヘイグ『ブルー・マンハッタン』。これは僕いいと思います。
- 須藤:
- ぼく全然わからないから、どうぞ。
- 原田:
- 聴いたことないなぁ。
- 後藤:
- これ結構いいよ。ちょっと聴いてみましょう。
- 原田:
- あ、ピアノなんですね。
- 後藤:
- ピアノなんですねって、アル・ヘイグなんだからさ(笑)。
- 原田:
- まだ健在だったんですよね、この頃。
- 須藤:
- これ何年ですか?
- 村井:
- 80年。
- 須藤:
- ビル・エヴァンスの80年は無くしてもいいけど、これはあってもいいなぁ。
- 後藤:
- ちょっと甘いけどね。
- 須藤:
- いいじゃないですか。
- 村井:
- こういうオーソドックスなピアノ・トリオは80年代結構あったし、入っていてもいいかなぁ、これはかなりいいほうだと思いますよ。
- 原田:
- この時代にしてはウッド・ベースの音がしている。
- 益子:
- じゃ、入れましょう。
- 村井:
- ジェリー・マリガン『ウォーク・オン・ザ・ウォーター』。ビッグ・バンドなんですけど、これは結構いいです。
- 後藤:
- いいアルバムだよね。
- 村井:
- 僕、いーぐるでいっぱい聴いたから。
- 後藤:
- ねっ。
- 村井:
- アンサンブルきれいだし。
- 須藤:
- まだ聴いてないから聴かせてもらいます。
- 後藤:
- 『ウォーク・オン・ザ・ウォーター』、入れちゃっていいのね。
- 益子:
- 次、ボビー・ハッチャーソン『ウン・ポコ・ロコ』。
- 後藤:
- これは微妙だな。
- 村井:
- これはイルカが跳ねているヘンなジャケットで、ジョン・アバークロンビーが入っているの。
- 益子:
- もういいですよ、アバークロンビー(笑)。
- 村井:
- これは外しますか。悪くはないけどね。次、メル・トーメ『ニューヨーク・マイハート』。
- 後藤:
- こういう「心温まる」っていう感じのが、全然入っていないのはどうなの?
- 村井:
- そうなんですよ。ヴォーカルがほとんどないんですよ。
- 後藤:
- メル・トーメは大御所とは言え、80年代に改めてフィーチャーされたんですよ。私はどっちでもいいけど。
- 村井:
- いや僕もね、オーソドックス系ヴォーカルがあまりにもないので、われわれの弱みというか。
- 後藤:
- じゃ、入れるのね。
- 益子:
- 次は問題の大物、マイルス・デイヴィス。
- 後藤:
- これはちょっと飛ばそうよ、わからなくなるから。
- 須藤:
- 次はシャノン・ジャクソン『マン・ダンス』。
- 後藤:
- これは入れたい。
- 原田:
- 僕も1票。
- 村井:
- 『マン・ダンス』は2票になったってことで、入れましょう。
- 益子:
- 次はスティーヴ・キューン『モストリー・バラッズ』。
- 後藤:
- これは意外と渋くていいけど、どうしてもって感じではないですね、僕は。
- 益子:
- スタンダード系のピアノということで言えば、アル・ヘイグとかデューク・ジョーダンがある中で、敢えて入れるだけの理由があるかというと、ちょっと、という感じがしなくもないですね。
- 後藤:
- じゃ、なくていいです。次はね、ドン・チェリー『ホーム・ボーイ/シスター・アウト』。これは結構入れたい。
- 村井:
- 僕もドン・チェリーは『アール・デコ』を選んでいるんです。ちょっとハード・バップ回帰みたいな、ジェームズ・クレイが入っているの。
- 後藤:
- 『アール・デコ』でも僕はいいよ。『ホーム・ボーイ/シスター・アウト』はレゲエっぽいの、ちょっとおもしろいアルバム。どっちでもいいなぁ。
- 益子:
- どっちが80年代的かっていう基準がいいんじゃないでしょうか。
- 村井:
- 『ホーム・ボーイ/シスター・アウト』ですね。じゃ、『アール・デコ』は落としましょう。
- 後藤:
- バルネ・ウィラン。バルネという動きも当時ありましたね。その中では『ワイルド・ドッグス・オブ・ザ・ルウェンゾリ』、これはいいアルバムだよ。聴いてみる?
- 須藤:
- 良い頃のヴィーナスですね。
- 後藤:
- ヴィーナスって言って欲しくないんだよね、原盤は全然ちがうんだから。
- 須藤:
- ヴィーナスの最初の頃は凄くよかったんですよ。
- 後藤:
- ヴィーナスじゃないんだって。
- 須藤:
- わかりますけどね(笑)。
- 後藤:
- 原盤はIDA。
- 須藤:
- ヴィーナスはESP出していた頃はいいんですよ。
- 益子:
- これに関してよく覚えているのは、寺島靖国さんが激賞していたんですよ。
- 村井:
- あっ、していましたね。
- 後藤:
- じゃ、やめようか。(一同爆笑)冗談、冗談。
- 村井:
- これでもいいアルバムだよ。
- 益子:
- 「腐りかけの何とか」みたいな上手い表現をしていたんですよ。
- 村井:
- こういうものに関しての寺島さんの表現って上手いんですよ。これは僕もいいと思います。
- 益子:
- このあとの日本企画が連発するのがちょっとね。
- 村井:
- じゃ、これは入れましょう。ポール・モチアンはね、『ポール・モチアン・オン・ブロードウェイ vol.1』とECMの『イット・シュドヴ・ハプンド・ア・ロング・タイム・アゴー』が入っているんですけど、基本的にはあんまり変わらない。
- 後藤:
- だったら、前者は外してもいいけど。
- 益子:
- ブロードウェイ・シリーズでいうと、僕は90年代のもののほうがいいと思うんですよね。
- 後藤:
- 後者と同じようなものが入っているのなら、前者はやめましょうよ。
- 村井:
- 次、カサンドラ・ウィルソン『ジャンプ・ワールド』。
- 後藤:
- これは入れたい。
- 益子:
- M-BASEものとして入れておきたいですね。
- 須藤:
- M-BASEっぽいものが少ないので、入れたい。
- 村井:
- カサンドラ・ウィルソンの80年代ならこれかなぁ。じゃ、入れましょう。
- 村井:
- ジョー・パス『ジャンゴに捧ぐ』というのは、「サマーナイト」が入っている盤ですね。
- 後藤:
- これはどっちでもいいかな、敢えてって感じかな。
- 益子:
- 敢えてなくてもって感じがしますね。
- 村井:
- では落としということで、最後にマンハッタン・トランスファー。
- 後藤:
- マンハッタン・トランスファーの『ヴォーカリーズ』。これは入れたほうがいいな。
- 村井:
- 僕、一枚マン・トラ欲しいの。
- 益子:
- これ年代が不明でしたけど、どうでしょう?
- 須藤:
- 85年のリリースですね。
- 村井:
- 一番ジャズっぽいということではこれですかね。『メッカ・フォー・モダーンズ』も好きですけど。マン・トラは80年代を代表するコーラスグループですから、1枚入れたい。
- 原田:
- FMでしょっちゅうかかっていました。
- 村井:
- もの凄く人気ありましたよね。じゃ、『ヴォーカリーズ』入れましょうよ。
- 須藤:
- ヴォーカルがないからとりあえず。
- 後藤:
- バランスでね。コイツら、ヴォーカル聴いてないんじゃないかって言われたくないからなぁ。
- 一同:
- アハハハ。
- 村井:
- 今11枚、○が付いちゃったの。
※ この原稿は2008年7月5日に都内某所で行われた座談会の模様を再構成したものです。


