FAMOUS JAZZ CD 21 PROJECT | 21世紀の定番ジャズCD

1980年代のジャズ 100CD 選考座談会 vol.22

寺島靖国氏が褒めるものは入れないのか?

村井:
アル・ヘイグ『ブルー・マンハッタン』。これは僕いいと思います。
須藤:
ぼく全然わからないから、どうぞ。
原田:
聴いたことないなぁ。
後藤:
これ結構いいよ。ちょっと聴いてみましょう。
原田:
あ、ピアノなんですね。
後藤:
ピアノなんですねって、アル・ヘイグなんだからさ(笑)。
原田:
まだ健在だったんですよね、この頃。
須藤:
これ何年ですか?
村井:
80年。
須藤:
ビル・エヴァンスの80年は無くしてもいいけど、これはあってもいいなぁ。
後藤:
ちょっと甘いけどね。
須藤:
いいじゃないですか。
村井:
こういうオーソドックスなピアノ・トリオは80年代結構あったし、入っていてもいいかなぁ、これはかなりいいほうだと思いますよ。
原田:
この時代にしてはウッド・ベースの音がしている。
益子:
じゃ、入れましょう。
村井:
ジェリー・マリガン『ウォーク・オン・ザ・ウォーター』。ビッグ・バンドなんですけど、これは結構いいです。
後藤:
いいアルバムだよね。
村井:
僕、いーぐるでいっぱい聴いたから。
後藤:
ねっ。
村井:
アンサンブルきれいだし。
須藤:
まだ聴いてないから聴かせてもらいます。
後藤:
『ウォーク・オン・ザ・ウォーター』、入れちゃっていいのね。
益子:
次、ボビー・ハッチャーソン『ウン・ポコ・ロコ』。
後藤:
これは微妙だな。
村井:
これはイルカが跳ねているヘンなジャケットで、ジョン・アバークロンビーが入っているの。
益子:
もういいですよ、アバークロンビー(笑)。
村井:
これは外しますか。悪くはないけどね。次、メル・トーメ『ニューヨーク・マイハート』。
後藤:
こういう「心温まる」っていう感じのが、全然入っていないのはどうなの?
村井:
そうなんですよ。ヴォーカルがほとんどないんですよ。
後藤:
メル・トーメは大御所とは言え、80年代に改めてフィーチャーされたんですよ。私はどっちでもいいけど。
村井:
いや僕もね、オーソドックス系ヴォーカルがあまりにもないので、われわれの弱みというか。
後藤:
じゃ、入れるのね。
益子:
次は問題の大物、マイルス・デイヴィス。
後藤:
これはちょっと飛ばそうよ、わからなくなるから。
須藤:
次はシャノン・ジャクソン『マン・ダンス』。
後藤:
これは入れたい。
原田:
僕も1票。
村井:
『マン・ダンス』は2票になったってことで、入れましょう。
益子:
次はスティーヴ・キューン『モストリー・バラッズ』。
後藤:
これは意外と渋くていいけど、どうしてもって感じではないですね、僕は。
益子:
スタンダード系のピアノということで言えば、アル・ヘイグとかデューク・ジョーダンがある中で、敢えて入れるだけの理由があるかというと、ちょっと、という感じがしなくもないですね。
後藤:
じゃ、なくていいです。次はね、ドン・チェリー『ホーム・ボーイ/シスター・アウト』。これは結構入れたい。
村井:
僕もドン・チェリーは『アール・デコ』を選んでいるんです。ちょっとハード・バップ回帰みたいな、ジェームズ・クレイが入っているの。
後藤:
『アール・デコ』でも僕はいいよ。『ホーム・ボーイ/シスター・アウト』はレゲエっぽいの、ちょっとおもしろいアルバム。どっちでもいいなぁ。
益子:
どっちが80年代的かっていう基準がいいんじゃないでしょうか。
村井:
『ホーム・ボーイ/シスター・アウト』ですね。じゃ、『アール・デコ』は落としましょう。
後藤:
バルネ・ウィラン。バルネという動きも当時ありましたね。その中では『ワイルド・ドッグス・オブ・ザ・ルウェンゾリ』、これはいいアルバムだよ。聴いてみる?
須藤:
良い頃のヴィーナスですね。
後藤:
ヴィーナスって言って欲しくないんだよね、原盤は全然ちがうんだから。
須藤:
ヴィーナスの最初の頃は凄くよかったんですよ。
後藤:
ヴィーナスじゃないんだって。
須藤:
わかりますけどね(笑)。
後藤:
原盤はIDA。
須藤:
ヴィーナスはESP出していた頃はいいんですよ。
益子:
これに関してよく覚えているのは、寺島靖国さんが激賞していたんですよ。
村井:
あっ、していましたね。
後藤:
じゃ、やめようか。(一同爆笑)冗談、冗談。
村井:
これでもいいアルバムだよ。
益子:
「腐りかけの何とか」みたいな上手い表現をしていたんですよ。
村井:
こういうものに関しての寺島さんの表現って上手いんですよ。これは僕もいいと思います。
益子:
このあとの日本企画が連発するのがちょっとね。
村井:
じゃ、これは入れましょう。ポール・モチアンはね、『ポール・モチアン・オン・ブロードウェイ vol.1』とECMの『イット・シュドヴ・ハプンド・ア・ロング・タイム・アゴー』が入っているんですけど、基本的にはあんまり変わらない。
後藤:
だったら、前者は外してもいいけど。
益子:
ブロードウェイ・シリーズでいうと、僕は90年代のもののほうがいいと思うんですよね。
後藤:
後者と同じようなものが入っているのなら、前者はやめましょうよ。
村井:
次、カサンドラ・ウィルソン『ジャンプ・ワールド』。
後藤:
これは入れたい。
益子:
M-BASEものとして入れておきたいですね。
須藤:
M-BASEっぽいものが少ないので、入れたい。
村井:
カサンドラ・ウィルソンの80年代ならこれかなぁ。じゃ、入れましょう。
村井:
ジョー・パス『ジャンゴに捧ぐ』というのは、「サマーナイト」が入っている盤ですね。
後藤:
これはどっちでもいいかな、敢えてって感じかな。
益子:
敢えてなくてもって感じがしますね。
村井:
では落としということで、最後にマンハッタン・トランスファー。
後藤:
マンハッタン・トランスファーの『ヴォーカリーズ』。これは入れたほうがいいな。
村井:
僕、一枚マン・トラ欲しいの。
益子:
これ年代が不明でしたけど、どうでしょう?
須藤:
85年のリリースですね。
村井:
一番ジャズっぽいということではこれですかね。『メッカ・フォー・モダーンズ』も好きですけど。マン・トラは80年代を代表するコーラスグループですから、1枚入れたい。
原田:
FMでしょっちゅうかかっていました。
村井:
もの凄く人気ありましたよね。じゃ、『ヴォーカリーズ』入れましょうよ。
須藤:
ヴォーカルがないからとりあえず。
後藤:
バランスでね。コイツら、ヴォーカル聴いてないんじゃないかって言われたくないからなぁ。
一同:
アハハハ。
村井:
今11枚、○が付いちゃったの。

※ この原稿は2008年7月5日に都内某所で行われた座談会の模様を再構成したものです。